内科・呼吸器内科・小児科・アレルギー科・睡眠時無呼吸治療・睡眠時ポリグラフ(PSG)検査完備
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休診日 | 水・土曜午後、日曜、祝日 |
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体内に尿酸が蓄積すると高尿酸血症になります。
人の遺伝に重要なDNAの成分であるプリン体が余分になると、尿酸という物質に変わって尿から排泄されます。このプリン体から尿酸ができる過程や尿酸の排泄の過程で異常が起きると、尿酸が体内に溜まっていくのです。
高尿酸血症の代表的で有名な合併症状は痛風発作です。しかし最近の研究では、高尿酸血症が動脈硬化の進行と密接に関係しており、心筋梗塞や脳梗塞などの生命に関わる合併症の原因となってしまうことが分かっています。
高尿酸血症は、様々な要因によって尿酸が体内で過剰になった状態です。先ほどご説明した通りプリン体が体内で余分になると尿酸という物質に変わっていくのですが、この尿酸の産生過程で血管に大きな酸化ストレスがかかってしまいます。(→尿酸産生酵素であるキサンチンオキシダーゼ(XO)活性過剰による酸化ストレス)
つまり高尿酸血症の方は、尿酸値が高くなっていく過程で酸化ストレスを受け続けているということになります。
この酸化ストレスは血管を傷つけることで動脈硬化を促し、心筋梗塞や脳梗塞、腎機能低下などの組織障害を誘導してしまいます(=無症状性高尿酸血症)。
多くの場合、高尿酸血症は「痛風発作を引き起こさないため」に治療されます。しかし当院ではこの組織障害を起こさないこと、つまり動脈硬化の進行を抑えることこそが、高尿酸血症の治療では重要であると考えています。
したがって当院においての高尿酸血症の治療は、一般的な治療目標よりも低い値を目標として治療を行っていきます。
痛風発作は高尿酸血症によって引き起こされる関節炎症状で、その約1割に発症し、関節に尿酸結晶が溜まってしまうことにより四肢関節が腫れて痛みます。特に足の親指の外側のつけ根(中足趾関節)付近によく起こり、初発で約5割、再発で約9割の頻度となります。
突然赤く腫れて痛み出し、一晩で激痛により歩けなくなり、1週間くらいで自然に治ってしまうという経過をとります。 痛風発作が治っても高尿酸の状態自体を治療しなければ、発作は頻回に起きてしまいます。ただ、高尿酸血症があってもすぐに痛風発作が起きるわけではなく、無症状で経過することもあります。
もともとの遺伝的要素と後天的な生活環境、特にプリン体を含む食品の過剰摂取やアルコール摂取などが複雑に組み合わさっており、尿酸の産生と排泄のバランスが崩れることで高尿酸血症を引き起こします。高尿酸血症と痛風は圧倒的に男性に多く、女性で痛風発作まできたす方は非常にまれです。
●尿酸産生が増加する原因
●尿酸排泄が低下する原因
なお最近の研究では、これらの原因の中でも遺伝的な要素が非常に大きな割合を占めていることが分かってきています。つまりいくら食事や生活環境に気を付けても、なかなか尿酸値が下がらない方が一部いらっしゃるのです。このような方には、後述するお薬による治療が必ず必要となってきます。
高尿酸血症の合併症状としてですが、尿酸が尿として排泄される際に尿酸の濃度が高くなると、尿の中で尿酸が結晶となり尿酸結石ができます。尿路結石症があると、突然の腰背部に激痛をきたし、血尿が出ます。 高尿酸血症を長く放置すると痛風腎といって腎不全に陥ることもあります。
診断の基本は、採血による血中尿酸値測定で行います。
痛風は特徴的な発作の症状で簡単に診断ができますが、発作時には尿酸が関節内に溜まってしてしまうため、血中の尿酸値が低くなることもあります。 腎臓にできた尿酸の石はレントゲンでは見えないので、超音波検査を行います。
●高尿酸血症
高尿酸血症の治療ですが、2種類の薬剤があります。
どちらも血中の尿酸を下げますが、「尿酸を作らないようにするもの」と「尿酸を尿からたくさん排泄させて体外に出すもの」とがあります。
尿酸を排泄させるものの方が、より尿酸を下げる効果がありますが、腎結石の既往がある方には使いにくく(尿中の尿酸が高くなり結石ができやすくなるため)、当クリニックでも2種類を患者さんの既往に応じて使い分けています。
ただし、無症状の高尿酸血症に対しての積極的な薬物治療は日本と違い米国ではあまり推奨されておらず、意見の分かれるところです。 当クリニックでは、無症状の方には超音波検査での腎結石のスクリーニングを積極的に行っています。
近年、利尿効果のある高血圧の薬によって高尿酸血症になる方が多くなっています。血圧の薬を飲んでいる方は定期的な血液検査が必要と考えます。
●痛風
痛風の治療としては、痛風発作時の痛みをとることを優先します。
非ステロイド性抗炎症薬を短期間、痛みがなくなるまで使います。
急速に尿酸値が低下すると、逆に痛風の発作を増悪させることがあるため、関節痛発作時は尿酸降下剤を新たに始めたり、増量したりは基本的にはしません。
●食事療法
この病気は予防としての食事療法が重要です。
具体的には、プリン体を多量に含む食品を避けること、過食をやめること、および多量の飲酒(とくにビール)を控えることです。
プリン体が多い食品には、レバー/あん肝などの肝臓、うに/白子などの卵巣や精巣、かにみそなどの内臓、いくらなどの魚卵があげられます。鶏卵を気にされる方が多いようですが、鶏卵にはほとんどプリン体は含まれていません。
肉類もよく気にされますが、肉類も一般にプリン体を多く含むのですが、尿酸は調理過程で水に溶け出て行ってしまいますので、肉類を生でたくさん摂取しなければ、それほどプリン体を摂ることにはなりません。ビールは多量のプリン体を含有しており、アルコール過量摂取でも尿酸値の上昇の原因となります。
尿路の結石を予防するために、1日の尿量が2L以上となるように水分を十分にとることをお勧めします。
経歴
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