内科・呼吸器内科・小児科・アレルギー科・睡眠時無呼吸治療・睡眠時ポリグラフ(PSG)検査完備

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長引く咳(せき)

○後鼻漏

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎があると、鼻汁が喉の後ろに垂れることによって長引く咳の原因になることがあります。小児ではゼーゼーなどの症状がみられることもあり、喘息といわれて治療をしているにもかかわらず、咳が良くならないときは、後鼻漏を疑う必要があります。抗生物質・抗ヒスタミン薬・去痰薬などを組み合わせて2週間くらい投与すると、症状は改善します。

○副鼻腔気管支症候群(SBS:Sinobronchial syndrome)

SBSは、慢性的に咳が続く副鼻腔と気管支の病気です。これとせき喘息の違いは明らかですよね。副鼻腔がプラスされました。しかし、もう1点違うところがあります。お分かりでしょうか?実は、せき喘息は「咳だけが続く」ですが、SBSは「咳が続く」となっています。このちょっとした違いが非常に大切なのです。
SBSは、慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)に慢性気管支炎などの気管支の炎症などが合併した状態で、原因は明らかではありませんが、鼻も気管支も一続きの気道なので、この気道の粘膜における防御機能が低下しているためと考えられています。ですから咳以外に、鼻閉や鼻汁(鼻水)、黄色っぽい痰が絡むなどの症状があることが、せき喘息やアトピー咳嗽とは異なります。
ただし…、せき喘息やアトピー咳嗽もアトピー素因に関係しているのですから、アレルギー性鼻炎を合併していても何もおかしくはありません。アレルギー性鼻炎でも鼻閉や鼻汁はありますし、後鼻漏(鼻汁が喉に垂れる)によって鼻汁を痰と思われる方もおられます。細心の注意を払って問診をしていますが、なかなか診断は難しいのが実情です。
当クリニックでは、上記の様にまずせき喘息の投薬を1週間行い、無効であればアトピー咳嗽とSBSの鑑別のために、鼻症状や痰の状態を再度確認し、SBSが疑わしい場合はレントゲン検査またはCT検査で慢性副鼻腔炎の有無を確認しています。
治療としては、マクロライド系抗生剤が第一選択となります。この抗生剤を4週間から8週間投与して、鼻症状と呼吸気症状の改善具合を診ていきますが、SBSに関しても、せき喘息アトピー咳嗽と同様に「治療的診断」になることが多いのが現状です。

○胃食道逆流症(GERD)

食道逆流症(GERD)の食道外症候群には、呼吸器疾患(症状)として、「明確な関連あり」の項目に咳嗽と喘息、が挙がっています。近年は慢性閉塞性肺疾患(COPD)への関与も報告されており、GERDの呼吸器への関わりは大きいです。中でも、8週間以上持続し胸部写真や身体所見の異常を示さない慢性咳嗽の原因として、GERDはかつてはわが国では稀とされたが近年増加しています。
GERDが咳を誘発し、また咳がGERDを誘発して悪循環を形成するため、咳喘息、副鼻腔気管支症候群など、慢性咳嗽のその他の原因疾患に高率に合併します。胸やけなどの食道症状や、起床時・食事中・就寝直後の咳の悪化、昼間優位の咳、咽喉頭症状の合併などの特徴的な病歴から疑い、薬剤による治療(プロトンポンプ阻害薬、消化管運動機能改善薬)や食事療法、肥満の回避などの生活指導を考慮します。他疾患合併例では、両者を強力に治療しないとしばしば軽快しないことがあります。慢性咳嗽の診療において、GERDは常に念頭に置く必要がある疾患です。

○逆流性食道炎

逆流性食道炎は本来、食道と胃の間の逆流弁(下部食道括約筋)の機能低下によって、胃酸や胃の内容物が食道に逆流し、食道の粘膜が炎症を起こす病気です。それによって、胸やけや、酸っぱい液体が上がってきてゲップが出る(呑酸:どんさん)、胸が締め付けられるような胸痛、喉の違和感や声枯れ(嗄声:させい)などの様々な消化器症状が出現します。
ところが、逆流した胃液が喉や気管を刺激したり、食道の粘膜を通して神経を刺激したりして、咳が出ることがあるのです。当然、逆流性食道炎自体が慢性的な病気ですから、咳も慢性的に出てしまいます。治療としては、通常の逆流性食道炎の治療と同じで、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプインヒビター(PPI)が第一選択となります。胸やけ等の消化器症状は1週間ぐらいで改善する場合が殆どですが、咳の場合は長期の治療が必要なことが経験上多いようです。PPIが効けば、呼吸器系の薬は全く必要ないのです。つまり、この場合も「治療的診断」に該当すると思われます。

○マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ肺炎は、マイコプラズマという微生物が感染しておこる病気です。しつこい咳と頑固な発熱が特徴ですが、肺炎という名前の割には、聴診器で呼吸音を聞いても異常がなく、外見だけではわかりにくい肺炎です。
また、家庭、学校、職場などの小集団内で流行するのも特徴で、かつては4年周期でオリンピック開催年に大きな流行を繰り返してきたため、「オリンピック病」と呼ばれていました。しかし最近は1984年と1988年に大きな流行があって以来、全国規模の大きな流行はみられていません。この数年は散発的な流行が多くみられ、2000年以降その発生数は毎年増加傾向にあります。
好発年齢は、幼児から成人まで幅広い年齢層でかかりますが、学童期、青年期によくみられます。潜伏期間は2~3週間と長いので、周囲にマイコプラズマにかかった人がいたら、しばらくは用心してください。
症状は、痰を伴わないしつこい咳と頑固な発熱が特徴で、全身倦怠感も見られますが、あまり重症になることはありません。また、普通の肺炎では、空気の通り道である気管支や肺胞が傷害されるため、ゼロゼロした痰が絡む音が聴診器で聴こえますが、マイコプラズは、気管支や肺胞の外部にある間質という組織で炎症を起こすため、ゼロゼロした音が聴こえないことが多く、診断が難しいのです。さらに、通常の肺炎では、白血球やCRP(炎症反応)が高値になりますが、マイコプラズマ肺炎では殆ど変化がなく、一般的な血液検査は当てになりません。
具体的には、症状が現れ始めた頃(急性期)と、2週間くらいしてすっかり回復した頃(回復期)の2回採血して、4倍以上抗体価が上昇していればマイコプラズマと診断できます。しかし、少々咳や熱があるからと言って、即座にマイコプラズマが疑われるわけではないので、病初期で採血されることはあまりなく、ある程度症状が進んでから検査されることが殆どです。この場合でも、回復期に2回目の採血を行えば、抗体の上昇が確認できることが多いのですが、治った後に受診する患者さまは殆どいませんので、結局2回目の採血が行われることも殆どありません。
当クリニックでは、マイコプラズマ抗原を調べる検査を行っています。この検査は、咽頭スワブ(ぬぐい液)で調べますので、採血の必要はなく、簡単に検査でき、結果もすぐわかります。
マイコプラズマに効く薬はマクロライド系の抗生物質ですが、最近このマクロライド系の抗生物質に効かないマイコプラズマ肺炎が増えてきました。マクロライド系の抗生物質が無効な場合には、テトラサイクリン系の抗生物質やニューキノロン系の抗菌薬が有効とされています。

○百日咳

百日咳は、百日咳菌という細菌が感染しておこる病気です。苦しい特徴的な咳が長く続きますが、乳幼児では肺炎や脳症を併発して重症になることもあります。従来は、1才未満乳児に多く見られましたが、年長児や大人の百日咳も増えています。ワクチンの普及により、最近の統計では、1才未満乳児:13.6%、10~14才:15%、20才以上:38.2%と、むしろ年長児や大人の方が多く見られるようになってきました。
百日咳の咳は、大変特徴的です。気管支が痙攣するような咳です。まず、短い間隔で咳が連続的に出ます(エホ、エホ、コン、コンという咳)。続いて、急に息を吸い込んで、笛のような音が聞こえます(ヒューという呼吸音)。この笛のような音が、百日咳の咳の一番の特徴です。喘息発作では、息を吐く時にヒューという呼吸音が聞こえますが、百日咳では、息を吸い込む時にヒューという呼吸音が聴こえます。このような咳嗽発作を繰り返すことを「発作性痙攣性咳嗽」といいます。この咳嗽発作は、数分~30分も続くことがあります。しばしば、嘔吐を伴うこともあります。顔を真っ赤にして咳き込み、特に夜間に激しく咳き込みます。時として、呼吸が止まりそうになることもあります。
この「発作性痙攣性咳嗽」が、見られれば診断は簡単ですが、百日咳の患者さま全員に見られるわけではなく、症状だけから百日咳と診断することは難しいのが現状です。
一般的には、百日咳が産性する百日咳毒素(PT)に対する抗体(PT抗体)を調べて、抗体ができていれば百日咳と診断できます。採血してPT抗体が上昇していれば百日咳と診断できるわけですが、ちょっと問題があります。
ハッキリとした「発作性痙攣性咳嗽」があれば、百日咳を疑って採血しますが、年長児や成人ですと症状がハッキリしない場合が多いので、検査が行われないことが多いのです。そうすると、「いつまでも咳が止まらない」と訴えて受診される回復期に1回だけの検査になることが多く、仮に回復期で抗体価が上がっていても、急性期と比べてどの程度上がっているのか判断できません。つまり、1回だけの検査では診断が難しいのです。ただし、回復期1回だけの検査でも、非常に高値であれば百日咳と診断できる場合もあります。
ですから現実的には、「発作性痙攣性咳嗽」が診られれば百日咳を疑います。しかし、診られない時は、ハッキリした原因なしに2週間以上も続く咳、嘔吐を伴う咳、夜間に増強する咳、真っ赤になって咳き込む咳、痰が少なく乾いた咳、周囲に百日咳に罹った人がいる場合に百日咳を疑って検査します。
治療には、マクロライド系抗生物質が有効で、内服期間は2週間位です。「発作性痙攣性咳嗽」はすぐには治まりませんが、除菌効果(百日咳菌を体外に排出する効果)は期待できます。マクロライド系の抗生物質が無効な場合には、ニューキノロン系の抗菌薬やテトラサイクリン系の抗生物質が有効とされています。一般的な咳止めはまず効きません。強い咳止め(リン酸コデインなど)の中には、呼吸抑制作用がある薬品もあり、乳幼児に使用すると呼吸停止することがありますので、使用すべきではありません。

○肺結核

肺結核は、結核菌という細菌が感染しておこる病気です。皆さんの結核に対するイメージは、「不治の病」、「恐ろしい伝染病」でしょうか?あるいは「一昔前の病気」でしょうか?
かつて、日本でも多くの老若男女が結核により尊い命を奪われました。結核は1950年以前の日本人の死因のトップで、当時の患者数は年間60万人以上、死亡者数も年間10万人以上という、まさに「国民病」、「亡国病」ともいわれていました。その後、有効な治療薬が開発され、ほとんどの場合「薬で治る病気」になり、さらに、早期発見・隔離、健診などの総合的な結核対策が効果を上げ、患者数は激減しました。現在の新規発病者数は60年前の約30分の1となり、一般の医療従事者の間ではまれな病気になりました。それでも、欧米の先進諸国と比べると患者数は3~5倍も高いのが現状です。現在、日本の結核患者の約半数が高齢者ですが、都市部では20~30歳代の若い世代の発病が目立ち、都市文化を象徴するインターネットカフェ、ゲームセンター、カラオケ、サウナなどといった不特定多数が集まる場所での感染事例は絶えることがありません。
結核菌は、普通の細菌のように手の指や土の中、水回りなどにいるものではありません。通常は、感染したヒトの体内でのみ増殖し、発病したヒトの咳の中の菌が空気中を漂い、それを大量に吸い込んだ人にのみ伝染する病気です。
肺結核の代表的な症状は、咳、痰、血痰、胸痛などの呼吸器症状と、発熱、冷汗、全身倦怠感などの全身症状です。結核は、一般的な肺炎やインフルエンザなどの呼吸器感染症とは異なり、ゆっくりと進行し、初期の症状が軽いため、自分ではなかなか気づかず、残念ながら診断時にはかなり進行していることがあります。
同時に、接触した大勢の人に病気をうつしているかもしれません。そうならないためにも、早く医療機関を受診すれば、軽症で完治させることができますし、大切な家族や友人を感染させることも防ぐことができます。2週間以上続く咳は結核を疑うサインです。あまり気にならなくても、咳が続く場合は必ず医療機関を受診してください。
検査としては、喀痰中の結核菌の有無をみる喀痰塗抹・培養検査が一般的です。またQFT(クォンティフェロン)検査は、BCG接種を行っていても施行可能であり、結核菌に特異的に反応することが特徴的です。
治療は抗結核薬の内服で、最短でも6ヶ月間飲みます(最初の2ヶ月は4種類、その後の4ヶ月は2種類)。飲み忘れると、薬の効かない耐性結核となってしまうので、きちんと内服しましょう。治療終了後 2年間は再発しないか検査を定期的に受けていただきます。

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院長プロフィール

久米 充芳
久米 充芳

経歴

  • 1997年 名古屋大学医学部卒業
  • 2008年 岡崎市民病院呼吸器内科:部長として勤務など

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